コロナ騒動が始まって以降、彼のYouTube Liveや切り抜き動画が人気となっているのはご存じの通り。
それほど影響力のあるひろゆき氏ですから、この『1%の努力』にも、さぞかし私たち一般人が求める「答え」が書いているはず…。
私も豊かな人生を手にすべく、その「答え」を求めて買ったのは言うまでもありません。
そして、彼らしい発言に「なるほど!」と納得したことも覚えています。
しかしながら、読み終えてから1年半たった今、その納得が疑問に変わりました。
この本は、ある種の「落とし穴」なのだと考えています。
私たち一般人に、99%ひらめける脳があるのか?
本題に入る前に…
田中泰延氏の『読みたいことを、書けばいい。』という本をご存じでしょうか。
「書く」を生業としている人向けの本で、うまく文章を書くための考え方が紹介されています。
私自身もこうやってブログを書いているので、すぐに購入しました。
ただ、読了後に見つけたこのレビュー↓で気分がダダ下がり。
かんたんに言うと「読みたいことを書く」というのは、「自分の書きたいことを書く」のではなく…
自分が求めている文章が世の中になくて「これはオレが書くしかないな」と全身全霊で書くものだと。
書こうとした内容が別の誰かに書かれていたり、妥協して書くくらいならROMってろ」と。
ライターを応援する本なのかと思いきや、むしろキツいメッセージが込められているとレビューされていました。
私もその辺りについて、別の記事『「読みたいこと」と「書きたいこと」の違いとは何か?』を書いています。
さて、では『1%の努力』にも同じような解釈ができるのではないだろうか?
というのがここからの本題です。
冒頭で、発明家エジソンの名言「99%の努力と1%のひらめき」を元に、ひろゆき氏は「1%の努力」で世の中を渡ってきたと述べています。
またそれ以降は、彼らしい「レールを外れた」考え方が250ページに渡って紹介されているのですが…
悲しいかな、タイトルを見て安堵するのは早計。
この本のメッセージは

努力はしなくてもいいんですよ!
テキトーにぼけ~っと生きててOK!
そんな、私たち一般人が心のどこかで求めている浅はかな答えではありません。
1つ考えておきたいのは、ひろゆき氏の残り99%が何であるか?ということ。
2ちゃんねる創設や、その他企業経営、フランスへの拠点移動…
「努力」でないこれらは、一体何なのか?
彼は「1%の努力」__つまり日本人特有の「努力は美徳」の精神でなく、自分にとって都合のいい道を選択しています。
加えて、本の帯にこんなこと↓が書いてあるのを考慮すると…

「頭のいい生き方」
ひろゆき氏の残り99%は「ひらめき」と言ってもいいのかもしれません。
(頭のいい=優れたひらめきがあるという公式が合ってるかは分かりませんが)
勘違いしやすいのは、「都合のいい道を選択」と言っても、ひろゆき氏は決してテキトーに生きているわけではないということ。
彼は彼なりに戦略を立てて、どうすればうまくいくかをしっかり考えているはず。
だからこそ本人は少ないと公言しつつも、私たち一般人以上の資産を持っているのです。
こうして改めて考えてみると、『1%の努力』はかんたんなことではありません。
ヘタに頑張って消耗する必要はないけれど、頭をガツガツ働かせて、いろいろな経験をして、点と線を結び続けることは絶対条件。
ひらめきが冴える人間であることは”当たり前”なのです。
つまるところ、この本の隠されたメッセージとは

「99%のひらめき」がないなら
ずっと(お金も心も)貧しい生活だよ!
ってことなんですよね。
何かの宣告といっても過言ではありません。
よくよく考えてみれば、私たち一般人は努力することが善とされており、現に努力にまみれた生活を送っています。
その努力を”1%”などという、0に等しいレベルにまで抑え、
かつ、人生において必要ないとさえ刷り込まれている「ひらめき」に”99%”を費やせと言っているのです。
こんな残酷な話、他にあるでしょうか?
考えただけでお先が真っ暗です。私たちはどうしろと?
ちなみに「ひらめき」とは、「直感」と置き換えられます。
出典先は失念してしまいましたが…とある方が
直感とは、理論を突き詰めた先にある
と言っていたのはよく覚えています。
幾度となく重ねられた思考の結果として、本当のひらめき・直感が出てくる。
答えは、すでに出ています。
「ひろゆきすげぇ!」と憧れを抱く私たちがやるべきは、そんな絶望の中でさえ、人生の糧となる知恵を身につけること。
名著たる本を読み、話を聴き、そして行動に移すことです。
YouTubeで、彼や他のインフルエンサーのLiveを見ればかしこくなれるわけではないのです。
ひろゆき氏の考え方を知ったとしても、あなたはひろゆきになれません。
いや、そもそも彼に憧れる必要など、どこにもないのです。
自分の頭で考える
ひろゆき氏は、序盤にて「正しい選択ができる考え方」を伝えると語っています。
しかし彼のカリスマ性ゆえに、彼自身の生き方が正しく、彼の意見を採用するのが「正しい選択」だと捉えられてしまっている現状を見ると…
皮肉にも、『1%の努力』は罪深い。
本当に大事なことは、ひろゆき氏も散々言っている「自分の頭で考える」です。
『1%の努力』の内容をすべて「なるほど!」で済ませるのではなく…
「いや、ここはこうじゃないか?」
「あの人はこう言ってたけど、その違いはどこからきているんだ?」
そんな風に、自分の頭で賛同・批判・試行錯誤を繰り返しながらページをめくるのが、大切と言えるのではないでしょうか。
最後まで、具体的な本の内容は触れずに終わりました。
私は、私なりのものの見方の結果として、このような分を紡ぎ出すこととなりましたが…
果たしてあなたは、この本や彼の周囲をどのように解釈するか?
ぜひあなた自身で確かめてみてほしいと思います。
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