仕事・ビジネス仕事観

仕事をする上で「人を使う」のが大事なことだと言えるのか?

以前ニュース番組の特集で、とある”蕎麦屋”がピックアップされていたのを見かけました。

まじまじと見てみると、その蕎麦屋…とても信じ難い営業スタイルになっており、店主の仕事ぶりを見て私は驚愕。

 

同時に、私自身がこれまでに正社員として経験した働き方がフラッシュバック、今回の記事タイトルのような疑問がふつふつと湧いてきたのです。

その特集は、とても考えさせられる内容だったのは間違いありません。

 

当記事では、蕎麦屋の詳細を知ってもらいつつ、「人を使うこと」について考えていきたいと思います。

 

尚、この記事で述べていることは、すべて私の性格を軸にした考え方に過ぎません

その辺りをご理解いただいた上で読み進めていただければ幸いです。

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とある蕎麦屋と私を例に、仕事で「人を使う大事さ」について考えてみる

始めに私なりの結論を申し上げると、仕事上「人を使う」ことは必須ではありません

「必要ない」とまで言うつもりはありませんが、必ず覚えるべきスキルだ!と断言できるものでもないと学んだからです。

 

反論はもちろんあるかもしれません。

  • 誰かが人を動かさないと会社は回らない!
  • マネージャーがいないとダメでしょ!

組織が大きくなればなるほど、統制する存在は必要となるでしょう。

 

また、書店を回れば100%、マネジメント力を向上させるための書籍が並んでいます。

絶対に読まなければならない分野だ!と言わんばかりの風貌で、ビジネス本中毒の脳を刺激し、手に取らせようと自らの輝きを増している風にも見えるわけです。

 

ただし、だからといって世の社会人全員が「人を使えて一人前のビジネスマン」という、あたかも現世の真実かのような理論に惑わされる必要はありません。

 

「人を使うスキルは絶対に必要だ!」という思い込みの強さが鎮まる事例を発見したからです。

たった1人で店を切り盛りする蕎麦屋『慈久庵 』

茨城県にある『慈久庵(じきゅうあん)』の運営状況を見て、私は唖然としました。

 

グルナビの口コミ欄にも記載がある通り、ここでは従業員がたった1人、店主のみです。

また、店内はそれなりのスペースがあるにも関わらず、オーダーから調理、洗い物もお会計も…

 

なんなら客に提供する蕎麦麺ですら、仕入れではなく畑で自作しているのだから驚き。

すべて店主1人でお店を切り盛りしているのです。

 

見た感じ、店主はご高齢なのに…なんともパワフル。

 

そんな、全てを自前で用意するほど店主のこだわりが詰まっている慈久庵。

蕎麦の評判はかなり良く、お店の営業中はたくさんの客が訪れるようで、毎日長蛇の列をなしているんだとか。

 

店に入るまでにも時間を要し、さらにはオーダーしてから蕎麦にありつけるまでにも約1時間!!

一般的な飲食店ならクレームが出てもおかしくないレベルです。

 

しかし驚くべきことに、慈久庵に訪れる客がクレームを出すことはありません

インタビューを受けていた客の1人は

女性

おいしいと評判の蕎麦を食べられるんだから、全然待てます!

などと言っていました。

 

あまり細かくは覚えていませんが、他の客も同じような言葉を並べています。

 

お店の入り口には

お時間の余裕があるときにお越しください

そんな案内文が掲示されてはいるものの(普通に考えたらこの案内すらビジネス的にどうかと思うが…)、文句ひとつ言わず、店の事情をよく理解している善良な客が多い印象でした。

『慈久庵』は、人を使わない(雇わない)のに店として成り立っている

ご高齢なのに誰も雇わず、すべての業務を1人でこなす店主。

しかしながら、お店の運営はできているし、繁盛するほどに有名ときている。

 

この事実を目の当たりにして、「人を使えるようになれ!」などというフレーズは、全てに当てはまるものではないと私は思うようになりました。

「人を使えるようになれ!」と発言していた著名人がいたり、記述されていた書籍を直接見たわけではないので根拠に乏しいですが…過去の上司からはキツく言われていました。

 

「人材マネジメント」の視点で見れば、指摘するに至ることはたくさんあると思います。

  • オーダーやお会計はアルバイトを雇えばいいのでは?
  • 蕎麦を作るのも、誰かに覚えてもらって引き継いでもらえばいいのでは?

 

それこそ「人を使って、人(部下やアルバイト)を動かして成果を出せ!」ということに繋がってきます。

 

ただ慈久庵の店主は、インタビューを通じて「人を使うこと」を頑なに拒否していました

理由は失念してしまいましたが、「自分1人で(店の運営を)やり続ける」

そうおっしゃっていたのは鮮明に覚えています。

 

言ってみれば”マネジメントの放棄“。

当記事の話題にぴったりであろう、D・カーネギーのロングセラー『人を動かす』に記載されている有益な内容すらも拒絶する店舗運営。

 

しかしそれでも、慈久庵は支持を得ている事実。

 

今後も、この店主が引退するまでは慈久庵の状況は変わらないでしょう。

店主は相変わらずせっせとオーダーから会計までをこなす日々。

評判は続き、長蛇の列をなし、客は数時間待ち、出てきた蕎麦をすする。

 

掟破りのビジネスに、私は引き込まれました。

人(バイト)を使うことが全てだと叩き込まれた私

私が慈久庵の特集に興味を強く抱いた理由は、過去における私の働き方と随分な差があったからだと、冒頭でお伝えしました。

ここからは、私の「人を使う」にまつわるエピソードです。

 

2012年、私は正社員として新卒で入社した、とある店舗での業務を行っていました。

特に専門性を有するほどの商品を提供する場ではない為(スーパーみたいな類)、正社員が数人+アルバイトが15名ほどの規模です。

 

そして、入社してから2か月くらい経過したときだったでしょうか…

店舗のマネージャーから、口うるさく

 

もっとアルバイトをコントロールしろ!

人を使えるようになれ!

お前がバイトと一緒のことをやっていてはダメだ!社員の仕事をやれ!

などと、これらのワードを何度も何度も私にぶつけてきました。

 

どんな状況であってもお構いなしです。

シフトインしているバイトが少なく、レジの業務で忙しいときも…

お客が商品を手に取るようなコーナーを作成しているときも…

とある作業のとき、作業内容が分からないバイトしかいなかったので仕方なく私がやっていたときも…

 

私の仕事能力が低かったのは事実であるものの、「もう辞めたい…」と弱音を吐いてしまったほどに強く怒鳴られ続けました。

もちろん、他にも「利益を出せ!」「タイムカードは絶対に押し間違えるな!」と教育は受けていましたが、やはり思い出すのは「人を使え」のフレーズです。

 

恐らく、店舗を経営していた会社の方針で「マネジメント力の高い人材育成」が掲げられていたのかもしれません。

また、その2年後に機会があって、以前勤めていたスポーツジムを経営する会社に転職をしたものの、相変わらず「人を使え」教育の嵐。

 

しかし一向に人を使えなかった私でしたから、当時の上司もひどく呆れていたことでしょう。

結局その会社も辞めて、今に至ります。

店主と私の明暗

さて、蕎麦屋『慈久庵』の状況と私の過去をお伝えしてきました。

 

次にここで言いたいことはずばり、蕎麦屋の店主と私…それぞれの結果です。

ですが、もうこれは一目瞭然で

  • 蕎麦屋の店主⇒多くの客が訪れる店舗運営+ニュース特集に取り上げられるほど有名に
  • 私⇒特に日の目をあたることなく、毎日を過ごす凡人。

これだけの差が出てしまったのです。

 

私は

  • 蕎麦屋の店主は個人事業で、私は会社員
  • 店主は1人で、私は組織の1人として
  • 店主は自分の思うがままに、私は会社の指示に従って
  • 店主と私の仕事力の違い

 

これらの差に目を向けた上で

わたし

いやいや、そもそも状況が違うでしょ!

と、記事を書く前に、そんな感じで否定をしていたわけですが…

ただ、よく考えれば、これらの事情は一切関係ありません

 

店主は、(一般的に)誰でもできる皿洗い、オーダー、会計(レジ)もすべて行い、非効率と言っても過言ではない運営だったのに「明」になりました。

一方で私は、「人を使えるようになれ!」と教育され、必死に勉強・実践したにも関わらず「暗」となってしまいました。

 

この事実を目の当たりにして、どうして「人を使うのは大事なことだ」と言えましょうか。

 

1つ挙げるとすれば、「仕事」の目的です。

営業スタイルを見る限り、確実に店主は「美味しい蕎麦を食べてもらいたい」という一心で働いていたと思われます。

 

一方で私は、会社の利益アップのために堅実な店舗の運営を求められ、そして要求に対して、ある意味では喜んで応えようとしていました。

結果として、その状況は「客に〇〇という商品を心から薦めたい!」欲求を抑え込み、反対に「マネジメントできるようになりたい!」という内側の利益に手を伸ばしていたのです。

いや、”手を伸ばすようにコントロールされた”と言っても差し支えはないでしょう。

 

内側の利益は、会社には認められるかもしれませんが…良くも悪くもそれだけ。

社内の地位が上がり、給料は増えます。

でも、ビジネスで一番肝心な「セールス(客に自社の商品を案内・販売する)」を行う機会が犠牲になっていたわけです。

 

店主のようにスポットを浴びるのは、いつでも「客をたくさん喜ばせた人」です。

「人を使うこと」に力を注ぎすぎた私は、この考えが未熟だった故に、「暗」となったのは言うまでもありません。

仕事で大事なことは「人を使うこと」ではなく「客にサービスすること」

組織に属している以上、人を使うことが求められる場面は当然あります。

みんながみんなバラバラなことをしていたら、運営なんてできませんから。

 

しかしながら、どうしても会社の一員の立場となると、客にサービスをする意識が薄れていきます。

言われるがままに自社の商品を売ることは「サービス」とは言えないと思っています。

最大限のサービスをすることよりも、人を使うことや、その他の内側の利益にしか目が行かず、堕落してしまうのではないかと、今はそう考えてます。

 

必ずしも人を使うことが大事であるとは言い切れないと思うのです。

 

だからと言って、蕎麦屋のようなフリーな身になれ!という話でもありませんが…

仕事をする上で一番重要なことは「客に最大限のサービスをすること」なのは、覚えておいたほうが良さそうです。

 

冒頭でもお伝えした通り、人を使うことは手段に過ぎないのです。

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